Saturday, April 20, 2013

「横尾忠則ポスター展」備忘録

福島県立美術館「横尾忠則ポスター展」備忘録 2013.4.20

いそいそと、ワクワクと出かけた「横尾忠則ポスター展」ですが・・・思った通りの「感動」のリフレイン状態。・・・初期の作品から最近の作品まで、衰えを知らない・・20世紀が生んだPOPスター「「横尾忠則ポスター展」でした。何と言っても?あの「腰巻きお仙」に会えたことが嬉しかった。

・・・しかし。である、ご来場の皆さん方は・・・ポスター鑑賞に夢中なのですがね?それらは、原画でもなんでもなく、あくまで複製された印刷物なのですよ。本物はね・・・平台ガラスケースの中の「版下」なのですよ。これが、「横尾忠則ポスター展」の本当の展示物なのです。些か?ナマイキに聞こえるかもしれませんが、印刷の知識が無いと全然?面白く無いし、一般の方達には・・なにこれ?「落書きが置いてあるだけじゃない」の状態に見えたはず。

・・・しかし。である、制作過程の中で「落書きに」見えたはずの・・「ラフ・スケッチ」というか「カンプ前のラフ」が、実はポスター制作にあたって「ほぼイメージづくりが完成」していた事が分かる、貴重な資料なのだった。「スケッチ」には、色がつけられてるのもあれば、鉛筆で濃淡を印してるものもある。もう、ポスターの「色」のイメージも出来てるのだった。横尾さんは、ご存知の通り「印刷会社」にも在籍されており、ここで「印刷技術」のノウハウを取得されたのだと思う。それらが、いかんなく発揮されたのが「展示されているスケッチ」から、読み取れる。

・・・しかし。である。次の制作行程である「版下」を見てみると、実際に線を引いたり、或はイラストレーションのペン入れの作業は、ほんの「一部」ちょっとだけなのである。その「版下」にあるのは、正確には、版下を包んでいる「トレーシングペーパー」上に圧倒的に書き込まれている「指示」のコメントや「色見本帖のチップ」なのである。つまり、このイラストはこの色で印刷して下さい。この部分は、この色でグラデーションを濃い部分からにして下さいとか、この写真を使って下さい・・・それは「版下」と「印刷物」を同時に眺めて見ることが出来た幸せな空間でした。

・・・しかし。である。今回の「横尾忠則ポスター展」は、ある意味・・・印刷技術の進歩、シルクスクリーン技術の進歩が、分かる「展示」だったと。・・・が、近年の奇麗なポスターやシルクが、良いとは思わなかった。あの・・1970年代のシルクスクリーン印刷の粗雑な「質感」が・・妙にいいのだ。

・・・しかし。である。美術館講堂での「対談」は、思った以上に面白くも無かった。舞台中央のスクリーンに映し出された「少年マガジン」の横尾さんデザインによる「あしたのジョー」が映し出された時から嫌な予感がしてたのですが・・・まるで、ダラダラとその「少年マガジン」表紙ディレクションの話を聞かせられました。そんな話は、横尾ファンなら先刻ご承知なのだよ。美術評論家の山下裕二君。・・そんな話でも、隣でメモをとっていたお嬢様へ、話に登場してた人物の事ならいくらでもおじさんが話してあげますよと。唐十郎、大伴昌司、天井桟敷、寺山修司・・・。いつでもいいからね。

・・・しかし。である。今日の「横尾忠則ポスター展」美術館講堂、展示会場には、思った程若い方が少なかったような・・・あくまでも個人的な感想なのだが・・福島市には、美術愛好家ではなく、美術館愛好家の方々が多いのだと思うのだが・・・(年配の方が横尾忠則を好きだとは決して思わないし?)

・・・しかし。である。「横尾忠則ポスター展」開催中の「関連事業」が、貧弱なのは何故なのだろう・・・ご本人の来館は、オープニングのみだし。学芸員のギャラリートークは、聞く気にもならないし。「ワークショップ」も何これという内容だし。フォーラムでの「新宿泥棒日記」が唯一のイベントのようだ。

・・・しかし。である。開催期間中に、もう一度、あの・・・状況劇場の「腰巻きお仙」ポスターに会いに行こうと思う。

PS/その、平台ガラスケースの中に展示されていた「スケッチ」「版下」をよく見ると・・・自分でもデザインに(写植で制作した頃)使っていた「GEレイアウト用紙」を横尾さんも使っていた事が分かって・・嬉しかった。

1974年の ONE STEP FESのポスターが、展示されてなかったのは・・・残念で?ちょっと悲しい気がした。