インターネットを利用した選挙運動を解禁するための与野党協議は5日、与党案に日本維新の会などが賛成し、関連法案を共同提出することで合意した。自民党は今夏の参院選での解禁を目指すが、ネットに不慣れな同党参院議員からは、ネットを使いこなせる人と使いこなせない人の間に生じる「デジタルディバイド」(情報格差)が「かえって選挙で不利に働くんじゃないか」(閣僚経験者)として、尻込みする声があがり始めた。「参院選からの解禁は無理だ。もう間に合わないだろう…」。自民党の参院幹部の口から最近、消極論が漏れるようになった。同党の合同部会が交流サイト「フェイスブック」(FB)などの利用解禁で対応一任を得たのは1月末。党の実務者は「3月上旬には成立」とにらんでいた。
雲行きが怪しくなったのは2月上旬。参院選からネット選挙解禁と報道されたことで、参院側から異論が出始め、党内調整の遅れが目立ってきた。最大の障壁はデジタルディバイドだ。自民党公認の参院選候補予定者59人のうち新人5人はホームページ(HP)を開設しておらず、ブログなどの利用実態もない。現職27人はHPを開いているが未更新状態も目立つ。FBやツイッターを駆使して情報を発信しているのは西田昌司氏ら少数にとどまる。
実は参院民主党でも状況はさほど変わらない。むしろ逆に、慣れないブログやツイッターに手を出し、ネット上の「自民党応援団」からの手厳しい批判などを恐れる議員もいるという。安倍晋三首相は1日、参院自民党幹部らに「解禁は自民党に有利」と説得したが、幹部は「参院選は自分の組織を固めて勝つ選挙だから」と本音を漏らす。慣れない上に、効果の定かでないネット選挙よりも組織固めというわけだ。
最近、議員会館では、IT関連業者がチラシを持って「HPの更新などを代行する」と営業に訪れるようになった。ある自民党参院議員秘書は「解禁なら詳しいスタッフを雇うか外注するか。どっちにしろ費用が増える」と嘆いている。
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