それは、
ETV特集 「映画にできること 園子温と大震災」を観て
ことし7月、福島県南相馬市の民家で、完成したばかりの一本の映画が上映された。タイトルは「希望の国」。描かれているのは、原発事故だ。その物語は、上映会に集まった南相馬の人たちが、大震災後の1年あまりの間に体験してきたことと重なる。
撮ったのは、映画監督・園子温(そのしおん)(50)
「愛のむきだし」がベルリン国際映画祭、「冷たい熱帯魚」がベネチア国際映画祭、「恋の罪」がカンヌ映画祭──ここ数年に発表した3作は3年連続で世界三大映画祭に招かれ、いずれも絶賛を浴びた鬼才。「ヒズミ」では、主演した2人が、2011年・第64回ベネチア国際映画祭で、染谷と二階堂がそろってマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞した。
園子温監督は、福島に通い、取材を重ねて、「希望の国」を作った。去年3月11日の東日本大震災は、さまざまなジャンルの表現活動を揺さぶった。かつて経験したことのない大災害の後に、芸術や思想にいったい何ができるのかと自問自答しながら。
完成した作品「希望の国」の初号試写会は、南相馬の取材先の居間で行った。・・・途中、監督と主演女優は、席を立ってしまった。「これは、南相馬の皆さんに、失礼な事をやっているんじゃないのかと?辛すぎるんじゃないのか・・・」主演女優も「試写している場所が、普段の生活場所で皆さんの姿と肩越しに見える映像とを一緒に観ているのが辛くなった・・・」
そして映画は、終わり、取材先のお母さんが「涙出て来たけど。・・悔しい、悔しくて・・」と何べんも呟いていた。この言葉が、ドキュメンタリーの出演者たち(監督、女優、取材先の家族)とTVを観ている私たちの「距離感」を縮めくれたのだと思う。
TVでも紹介されたが、園子温監督自身が書いた「詩」に、こんな一節があった。
「政治が、泣き言を言うのなら、芸術がやれ」・・・と。
10月7日(日)午前0時50分から再放送がある。必見のドキュメント番組である。
PS/是非、福島で上映の際には、園子温監督の舞台挨拶つきで観たいものだ。
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